どんな人にも生きる意味があると説かれた親鸞の教えとは

浄土真宗・仏教の「自利利他」の精神が成功の秘訣

2020/11/19
 
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菊谷隆太
こんにちは、菊谷隆太です。 東京、大阪、名古屋を中心に仏教講座を主催する仏教講師です。 専門は浄土真宗で、「教行信証」「歎異抄」を学び、皆さんにもお伝えしています。 このサイトは「どんな人にでも生きる意味がある」と宣言された親鸞という方の教えを知っていただきたいと思い、開設いたしました。

 

仏教に「自利利他」という言葉があります。
他人を幸せにする(利他)ままが、自分の幸せ(自利)となる、他人も生かし、自分も生きる道が「自利利他」です。
これから数回にわたって『自利利他』の仏教の教えをお話しします。

 

近江商人「三方よし」は自利利他の精神からくる

 

室町時代、近江の商人は、蓮如上人から仏法を聞くようになり、自利利他の教えを理念とした商売に心がけるようになります。
人の嫌がる商売をしない彼らは「近江商人は三方よしだ」と、遠隔地の行商先でも信用を集めていき、繁栄していきました。
「三方よし」とは、売り手よし、買い手よし、世間よし。
売り手も儲かり、買い手も満足し、世間も高い評価をする商売のことです。

 

口で言うほど、「三方よし」は簡単ではありません。
大企業が、下請けの中小企業に取引停止をちらつかせて、不利な価格で叩いて買い取る「下請けたたき」が社会問題です。
大企業も少しでも利益を出すために必死なのでしょう。
中小企業も、大企業との契約を勝ち取るために「背に腹を変えられぬ」とばかりに、安価な不良部品を偽装する事件も起きています。
それで故障が相次ぐと今度は不良部品だったことの発覚を恐れて、大企業と下請け会社が密談の上、リコール隠しをします。
やがてそれが明るみになり、世間中からの信用を失墜し、倒産するという事態は何度も繰り返されてきました。
今もどこかで進行中かもしれません。

 

「自社も良し」「取引他社も良し」「世間も良し」を貫くのは、口で言うほど簡単ではないので、「三方よし」を貫く商売をする人は目立ち、信用され、愛され、長期にわたって繁栄を遂げることでしょう。

 

交渉や取引は自利利他の精神で臨むべし

 

交渉、取引はボクシングとは違います。
ボクシングなら、相手が立ち上がれなくなるまで叩きのめすにはどうしたらいいか、を考え、そのための練習をします。
KOするか、それが無理なら判定でもいいから「勝つ」ためにボクサーはリングに立つのですから。
しかし交渉はそうではありません。
双方の条件を出し合い、合意点を見いだすのが目的です。
お互い気持ちよく笑顔でまとまるのが、理想的な交渉なのです。

 

断じて交渉は勝ち負けで考えてはならないということです。
勝つと一時は気持ちいいかも知れませんが、長期的に見れば損をします。
ビジネスにおける最も大事な「信頼」という財産を失うのですから。

 

ディベート(討論)のプロが、交渉のプロになれるとは限らない、のもそのためです。
討論なら相手が絶句し、何も言えなくなれば、それで良しですが、交渉においては、相手に何も言わせなくさせることに、何の意味もありません。
むしろ害です。
相手企業の怒りや恨みを買い、信頼を損ない、結果的に大きな損害が出すことにつながるからです。
交渉とは、相手と自分の目指している方向性に一致する部分はないか、模索していく共同作業であり、交渉相手は「一緒に勝つアイデアを出し合う仲間」と心得て臨むべきです。

 

これは仏教で常に重んじられる「自利利他」の精神に通じます。
取引、交渉においても、まず私たちが心得なければならないのは、『自利利他』の精神でしょう。
米中貿易戦争の様相を呈してきた国際情勢に、世界中が緊張しています。
国家間の交渉も大事なのは「自利利他」の精神です。
アメリカも中国もこの精神を忘れずに交渉に臨めば、破綻することはないのですが、果たして両首脳にその度量があるかどうか、ですね。

 

 

 

利他の精神が自利を生む

 

「どうしたら、わかってもらえるのか」「どうしたら、認めてもらえるのか」と悶々とすることは私たちによくありますが、こういう悩みは、悩んだ割には、あまり生産性がないことが多いようです。
そもそも悩んだところで、どうにもならないことが多いです。
そんな時は、その悩みをいい加減なところでほったらかしにして、視点をがらっと変えてみたらどうでしょう。
「どうしたらわかってもらえるか」という問いではなく、「どうしたらわかってあげられるだろうか」「どうやったら認めてもらえるか」ではなく、「どうやったら、周りに喜んでもられるか」という質問をあえて自分に投げかけてみるのです。
すると不思議なことに、人のことでアレコレ悩んでいると、自分の悩みがいつの間にか霧消しているのです。
そしていつしか恵まれ、大事にされるようになっています。

 

松下グループの創始者、松下幸之助「あなたが世の中に対して提供した価値の10分の1があなたに返ってくる」と言っています。

 

常にこれは意識していないと「どうやったら儲かるか」「どうやったら相手は、自分を認めるようになるのか」という問いがどうしても先走ってしまいます。
そうなると、どんなよい方法があったにせよ、相手の心を動かして、相手のお金や時間や気持ちをこっちに引っ張り込もう、ということになりますから、相手は警戒しますし、面白くない気持ちになります。

 

「ほしい」という発想を頭からはずして、「どうしたら、この人に喜んでもらえるか」という問いを真剣に考えてみるところから、努めていったらどうだろう。
遠回りのように見えて、堅実に自分も恵まれるようになっていくのです。

 

 

自利利他は実行してみれば分かる

 

アメリカの研究チームが、大学のキャンパスである実験をしました。
学生に20ドルの現金を渡し、今日中に使ってほしいと頼むのです。
グループAには自分のために使うこと、グループBには人のために使うことと条件をつけました。
自分のために使うことを指示されたグループAの学生は、化粧品やアクセサリー、食べ物などに使いました。
一方、人のために使うことを指示されたグループBの学生は、友人のため、あるいはいつもお世話になっている人のために使いました。
幼い兄弟におもちゃを買ってあげたという人もいました。

 

さてこの日 幸福を感じたのはどちらのグループだったでしょうか。
調査の結果は著しいものでした。
自分のために使った学生よりも、人のためにお金を使った学生の方が、はるかに幸福度が高くなっていることが分かったのです。

 

これは裕福な国の若者だったから、という理由はあてはまりません。
生活水準が低いアフリカの発展途上国で行われた同様の実験においても、同じようなデータ結果が見られました。

 

【人に幸せを与えようとする人が、幸せになれる】
利益(幸福)を他人に与える人が、自らも利益(幸福)を得るのです。
与える人が、与えられる人になります。
与えない人は、人からも与えられません。
だから幸せになりたかったら、幸せを与える人になることです。
幸せを与える人は、その心の向きと行動自体が自ずとその人を幸せにさせますし、さらにまた、やがて思いがけないほど、その人に幸せが返ってきます。
本当かなと思う人もあるかもしれませんが、釈迦は「実行すれば分かるよ」と言われています。

 

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