釈尊の十大弟子から、人の長所を発見することの大切さを知る

お釈迦様の数多くのお弟子の中に、特に十人の優れたお弟子があって、これを『釈尊の十大弟子』といいます。
舎利弗(しゃりほつ)は智慧第一。
目連(もくれん)は神通力第一。
富楼那(ふるな)は説法第一。
阿難(あなん)は多聞第一・・・・・・。
このことにかけては数多くの弟子あれどこの人が一番だ、というお弟子です。
医学でも内科医、外科医と分かれていますが、内科医といってもいろいろあります。
このことにかけては徹底的に勉強している、そういう内科医がいます。
消化器のことはわからない、しかし心臓のことは徹底して詳しい、心臓の内科の権威という人もあります。
心臓のバイパスの難しい治療では「あいつ、呼んでこい、このことに関してはあいつだ。」という人です。
ピッチャーも昔は選抜完投型は珍しくありませんでしたが、今は分担制です。
先発、中継ぎ(セットアッパー)、中継ぎ(ワンポイント)、中継ぎ(ピンチ時)、 抑え(守護神)・・・いろいろあります。
この場面で左バッターには「あいつだ。」という人もあります。
私たちも仕事で「このことに関しては我が部署で一番はあいつだ」というものを持つことを目指したらいかがでしょう。
周りから一目置かれる存在になるはずです。
その次は「このことに関しては我が会社で一番はあいつだ」というところを目指しましょう。
やがては「このことに関してはこの業界ではあいつだ」というところまでいきましょう。
生涯、頼られ、大切にされることでしょう。
「あのことがあいつはできていない」「このことはとりわけだめだ」と人のできていない点ばかり査定して人を評価する人もあリますが、お釈迦様はそういう方ではなかったようです。
その人の長所、他の人にない才能を見出し、得意な点を評価され、伸ばしていかれたのでしょう。
自分には長所なんかないという人に
長所を発見して適材適所で生かすことの大切さを話すと、自分に強みなんかないです、という悲観する人もあります。
お釈迦様のお弟子にもそういう人がありまして、実はそんな人が十大弟子のお一人となっているのです。
シュリハンドクという人です。
自分の名前も覚えることができないような生来、頭の弱い人でしたが、そんな人が釈迦十大弟子になられたいきさつを紹介いたします。
ある日の朝、お釈迦様がお弟子と食事を取ろうとしておられると、シュリハンドクの姿がない。
兄大路が愛想をつかし、追い出したのだ。
弟子達は馬鹿なシュリハンドクのことなど、気にしてはおらず、誰も居場所が分からなかった。
そこでお釈迦様は「法友が一人いないのに食事をしようとするのは何ごとか。もうよい私が探してくる」と仰言って、探しに行かれたのである。一方シュリハンドクは門の外で泣いていた。
「なぜ、そんなに悲しむのか」
釈尊は、親切におたずねになった。
正直に一切を告白し「どうして私は、こんなばかに生まれたのでしょうか」
さめざめとハンドクは泣いた。
「悲しむ必要はない。おまえは自分の愚かさを知っている。世の中には、賢いと思っている愚か者が多い。愚かさを知ることは、最もさとりに近いのだ」
釈尊は、やさしくなぐさめられて、一本のほうきと『ちりを払わん、あかを除かん』の言葉を授けられた。シュリハンドクは清掃しながら、与えられた聖語を必死に覚えようとした。
『ちりを払わん』を覚えると『あかを除かん』を忘れ、『あかを除かん』を覚えると『ちりを払わん』を忘れる。しかし彼はそれを二十年間続けた。
その間、一度だけ、釈尊からほめられたことがあった。
「おまえは、何年掃除しても上達しないが、上達しないことにくさらず、よく同じことを続ける。上達することも大切だが、根気よく同じことを続けることは、もっと大事だ。これは他の弟子にみられぬ殊勝なことだ」
釈尊は彼の、ひたむきな精進を評価せられたのである。そんなある日、ある催し物があり、いつも担当している部屋を念入りに掃除することになった。
日頃はこんなところにはちりやはこりはなかろうと思って動かしたことのない置き物をどかした途端、山と積まれたちりやほこりがあったのだ。
彼は、ちりやほこりは、あると思っているところばかりにあるのではなく、こんなところにあるものか、と思っているところに、意外にあるものだということを知った。
そして「オレは愚かだと思っていたが、オレの気づかないところに、どれだけオレの愚かなところがあるか、わかったものではない」と驚いた。
ついに彼に、阿羅漢のさとりが開けたのである。
よき師、よき法にあい、よく長期の努力精進に耐えた結実にほかならない。
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