どんな人にも生きる意味があると説かれた親鸞の教えとは

「瞋恚(怒りの心)」が自分と周りに与える悪影響について

 
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菊谷隆太
こんにちは、菊谷隆太です。 東京、大阪、名古屋を中心に仏教講座を主催する仏教講師です。 専門は浄土真宗で、「教行信証」「歎異抄」を学び、皆さんにもお伝えしています。 このサイトは「どんな人にでも生きる意味がある」と宣言された親鸞という方の教えを知っていただきたいと思い、開設いたしました。

仏教の三大煩悩の一つに数えられる「瞋恚」(怒りの心)は、「自損損他」といい、周りを不幸にさせ(損他)、自らも不幸にする(自損)とお釈迦様は説かれています。
瞋恚は「百害あって一利なし」
お互いを不幸にするだけで怒っていいことは一つもありません。
今回は怒りの心が如何に周りを不快にさせ、自らをも傷つけることになるか、お話ししてまいります。

 

「瞋恚(怒り)」は周りを不快にさせる

 

まだ私が大学生だったときのことです。
学生街の、とある食堂で食事していると、厨房から、店の主人が誰か従業員に激しく怒りをぶつけている声が聞えてきて、いたたまれない気持ちになったことがあります。
それ以来、その店には行かなくなってしまったのですが、行かなくなったのは、味というより、その店の主人への不快感からでした。

 

その店の主人は、指導していたんだと弁明するかもしれませんが、主人の言い方や言葉遣いは感情をぶつけているとしか思えなかったですし、百歩譲って指導だったとしても、客のいないところですべきでしょう。
客に不快な気持ちを抱かせることが、その店の責任者なのに、分からんとはどういうことだと思ってしまいます。
少なくとも、あの時、その主人は怒鳴ったことで、常連客を一人失ったのです。

 

決して客は、料理の味だけを求めているのではない、心地よいひとときを求めて、お金を払ってその場にいることを心に留めなければならないと思います。
店の主人ならそういうことはよく分かっているはずです。
だからこそ観葉植物を置いたり、BGMを気遣ったりしているのでしょうし。
分かっていても頭に血が上ると、周りが見えなくなってしまうのかも知れません。

 

これは職場でも同じで、怒っている人がいると、職場全体の空気が固く、ぎこちなく、暗くよどみます。
家庭だともっと悪影響です。
両親が悪態をつき、怒鳴っているのを、子供はどんな気持ちで聞くか、子供の気持ちを考えたらできないことが様々な家庭で見受けられます。

 

怒っていいことは一つもありません。
怒ったあとは自分自身、嫌な気持ちになりますし、周囲の人を不快にさせ、暗くさせます。
お釈迦様が『瞋恚(怒り)』を三大煩悩の一つに数えられているのもよくわかります。
怒りがムラムラとわいてきて、言葉や顔や態度に出てしまいそうになるときは、周りの人を苦しませることになると思い留め、律していきたく思います。

 

携帯電話での「瞋恚(怒り)」にご用心

 

私が30代の頃、ある会社に苦情の電話を入れたときのことです。
のらりくらりと言い訳ばかりの不誠実な対応にいささかカチンときてしまい、つい電話口の語気が荒くなってしまいました。
電話を切って、自分の机に戻る時、周りの固い雰囲気に「しまった」と思わずひやりとしました。
フロアの隅っこでの電話のやりとりが、同じフロアで仕事していた後輩数人の耳にも聞こえてしまったようだったのです。
緊張した部屋の空気和らげようとしてか、気の利いた後輩が「ひどい対応だったんでしょうか」と言ってくれ、周りも「ひどいですねえ、それは」と会話が生じ、その場は和みましたが、後輩に気を使わせてしまいました。
言わないだけで彼らもきっと嫌な感じを持ったのではないかと反省しました。

 

電話だと、つい会話している相手に集中してしまい、周りが見えなくなるので、こういった失敗をしがちです。
よくよく気をつけねばなりません。

 

よく公共の場で電話するのはマナー違反とされます。
近くで人が会話している声が聞こえても気になりませんが、誰かの電話している声は、なぜかうるさく感じるものです。
一方の声が聞こえず、電話している人だけの笑い声や相づちを聞くのは、ちょうど途切れ途切れの音楽を聞かされているようで、耳障りであり、ストレスを感じます。
ましてや、電話している人が怒っている場合、かなりの不快感でしょう。

 

怒りは、自分にとって得することは一つもありません。
また自分だけでなく、相手にとっても嫌な気持ちにさせるだけですから、「自損損他」です。
「自損損他」とは、自らを損させ、相手も損させる、ことです。

 

怒っている人が近くにいるだけで、たとえその怒りが自分に向けられたものではなくても、嫌な気持ちになります。
怒っている人の表情、声、態度は不快ですし、その人に対して腫れ物を触るような対応になり、肩が凝ります。
何かといつも怒るパートナーと一緒に生活する人や、いつも不機嫌な夫婦の下に育つ子供は、強いストレスを感じ、いつしか自分もイライラしてしまいます。

 

こんな話があります。
あるサラリーマンが会社でミスを指摘され、イライラして帰宅した。
妻に細かいことで八つ当たりする。
ムシャクシャした妻は、子供に小さなことで怒鳴る。
おもしろくない子供は、ネコに怒りをぶつける。
ネコはうっぷん晴らしに天井でネズミを追いかける
天井裏のネコとネズミの追いかけっこで夫は夜眠れず、翌日、また会社で集中力を欠き、ミスをする。
一人の怒りが波及して、周り中を不幸にし、ますます自分を苦しめる一例です。
私たちを最も苦しませる三大煩悩の一つに「怒りの心」をお釈迦さまが挙げておられるのもよくわかります。

 

「瞋恚(怒り)」は美容と健康の大敵

 

怒りは自分自身にも相当のダメージを与えます。
たとえば目に見えるところでいうと、美容と健康に怒りは非常に良くなく、ジャンクフードとコーラのランチよりよくないとのことです。
人間の免疫力はリラックスして副交感神経が優位に働くとアップしますが、普段怒ってばかりいる人は交感神経ばかりが優位になり、免疫力が落ち、病気にかかりやすくなってしまいます。
カッとなったのはほんの数秒でも、その時に過剰に働いた交感神経は元の状態に戻るのに3時間もかかるのだとか。

 

怒りは血液にもよくありません。
イライラした時に体内に発生する活性酸素で血液がドロドロになり、血栓で血管が詰まりやすい状態になります。
そこへきて激怒して血圧が急上昇すると、心筋梗塞や心臓の発作の危険率もグンとあがってしまうのです。

 

他にも、不整脈、肝臓や堪能へのダメージ、筋肉痛、下痢、胃炎、皮膚炎の原因になり、怒りは身体にいいことが1つもないです。

 

また怒りは美容にも相当悪い影響を与えます。
特に肌に悪いようです。
怒りにより活性酸素が大量に発生し、体が酸化し、シミやたるみなど肌の老化を加速させるのです。
もちろん眉間のシワや額のシワの原因にもなります。
シワでも笑いジワは人をほっとさせるシワですが、怒り、イライラが作るシワは人をいい気持ちにはさせません。
一回怒れば一回分着実に肌のたるみやシワとなっていくことを自覚すべきでしょう。

 

つまり怒りは美容と健康にとって「百害あって一利なし」の大敵だということです。
これはよく言われることなので心得ている人は多いですが「わかっているけどやめられない」と悩んでいる人はまた多いでしょう。
「怒りをどう抑えるか」これは人類的な課題です。
この難題にお釈迦様はどう解答されたか、仏教で説かれる怒りをおだやかにするいくつかの知恵を動画で紹介していますので、関心お持ちの方はこちらのYouTube動画からどうぞ。
怒りの原因と解決法

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菊谷隆太
こんにちは、菊谷隆太です。 東京、大阪、名古屋を中心に仏教講座を主催する仏教講師です。 専門は浄土真宗で、「教行信証」「歎異抄」を学び、皆さんにもお伝えしています。 このサイトは「どんな人にでも生きる意味がある」と宣言された親鸞という方の教えを知っていただきたいと思い、開設いたしました。

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